リアス・アーク美術館は、宮城県が県土の均衡ある発展をはかるため、地域活性化対策事業として「広域圏活性化プロジェクト事業」を創設し、当気仙沼本吉広域圏が選定要望を行った「地域文化創造プロジェクト事業」の中核施設として設置(宮城県による)、施設の管理運営を当時の圏域一市五町で構成する気仙沼・本吉地域広域行政事務組合が行う博物館相当施設として平成6年10月25日に開館しました。また平成16年5月31日には財産一式が県から組合に無償譲与されています。なお、現在市町村合併により、構成市町は気仙沼市、南三陸町の1市1町となっています。
プロジェクト事業の中核施設である「リアス・アーク美術館」は、「圏域住民への質の高い芸術文化に触れる機会の提供」と「住民の創作活動や発表の場の提供」を通じ、美術的な視点から個性豊かな圏域文化を創造しようとする生涯学習施設です。東北・北海道を一つのエリアと捉え、美術をはじめとする芸術・文化を継続的に調査、研究することを基本方針とし、常設・企画事業を展開しています。
気仙沼市の中心部から南西2.5km、気仙沼湾を見下ろす丘陵地帯の一角にあります。設計は、早稲田大学理工学部建築学科の石山修武研究室があたり、建物内部は総3階建てに屋上庭園を有し、総面積は4601.22㎡。「1995年日本建築学会賞」を受賞しました。
施設内容は圏域に内在する文化資源を見つめなおし、“食”を軸として歴史、民俗資料を公開する「方舟日記」、及び当館所縁の作家を中心に紹介する「収蔵美術作品展」を常設展示するアークギャラリー、「東日本大震災の記録と津波の災害史」と題し記録資料等を常設展示する企画展示室、当館企画展・巡回展・圏域住民の創作活動の発表等を行う圏域ギャラリー、住民の創作活動を支援するワークショップ、そして当館オリジナルソフトを中心に視聴覚映像作品を上映するハイビジョンギャラリーなどの複合的機能からなっています。以上の取り組みが高く評価され、「地域のアーカイブとしての新境地を開拓した」として、「平成26年度 地域創造大賞(総務大臣賞)」を受賞しました。
《リアス》とは三陸沿岸部の海岸地形を表す地理用語《リアス式海岸》の《リアス》であり、つまり転じて当館が三陸海岸に存在することを意味しています。《アーク》とは《方舟》を意味し、旧約聖書に記されている洪水伝説中に登場する《方舟》と共通するイメージを持っています。つまり、荒波にも似た時代の流れ、変化の中にある圏域の文化資源を《地域の記憶=無二の財産》として調査研究、収集し、後世に伝えていく当館の使命を象徴しています。
当館のシンボルマークは、三陸の豊かな海の象徴である青を基調に、荒波(右上の波状部分)を越えてゆく方舟(中の白い部分)を表しています。波状部分は波を表すと同時に、三陸地域の特徴である、複雑に入り組んだリアス式海岸の表現でもあります。また、美術の象徴として、パレットの形も表しています。